豊橋の「 うずら 」
野鳥のうずらが家禽化されたのは江戸時代であるが、採卵用として飼育され出したのは明治中期と言われています。豊橋地方で飼われるようになったのは大正10年頃からで、ここで自然交配させた雛が戦後全国各地に広まりました。又、海外(ブラジル・東南アジア)にも輸出されてきました。
当地方でうずら飼育が盛んになったのは、
(1)気候温暖で飼育に適している。
(2)元来、養鶏が盛んで関連産業としての飼料・設備業者等が多い。
(3)東京、大阪の二大市場の中間に位置し、交通の便が良い、などがあげられます。
業界の特徴
商品知識
一方、卵の成分は鶏卵とよく似ておりますが、良質のたん白質の他、特にビタミン、ミネラル・アミノ酸は鶏卵の約2倍(単位当たり)もあり、栄養価の優れた食品であります。
生産状況
各農家から出荷された卵の約40%は加工食品としてゆで卵にされ殻をむいた状態で、水煮として袋詰めや缶詰にされています。あとの60%は洗浄され衛生的な生卵としてパック詰めされ出荷されています。
豊橋には全国で唯一のうずら専門の農協、豊橋養鶉農業協同組合(GP・水煮工場・孵化施設・肥料工場の一貫総合施設を備えている)があり、積極的にTVCM等で拡販・産地PRに力を入れている。
又、豊橋うずら®としてブランド化を図っております。
うずらは、2キロほどある鶏と比べると随分小さいが、病気にはかかりにくい。
ただ、冬場の保温や換気、毎日の除糞が欠かせないうえに、餌や水をきらさないように注意しなければならないなど管理が難しく、飼育は敬遠されがちであった。しかし近年では、飼育施設の改善や設備の機械化(給餌・集卵・除糞の自動化)が進み、安定した需要にも支えられ、大量飼育をする農家が増えている。かつては多くの鶉舎が市街地にあって、そこから発生する臭気により地元から苦情がでたこともあったが、鶉舎を郊外に移転させたり(豊橋市高塚町にうずら団地を昭和54年に完成)飼育方法の工夫により多くの業者が好環境の下で生産の効率化に努めており、うずらの主産地として今日の発展を見るに至っています。
一方、うずらの糞を醗酵させたものは肥効が高く果樹類の甘味を増すといわれています。その他、特産品の肥料としてハウス栽培に多く使用されています。近年は海外にもクエイル有機の名で輸出されています。
また熟成ペレット化させたものは、全国に送られ大根・白菜・キャベツ・じゃがいもなどの肥料として使用されています。こうしたなか、環境保全型循環農業システムの確立を目指して豊橋養鶉農業協同組合では大型の鶉糞長期醗酵処理施設を完成(平成9年3月)させました。ここで生産される醗酵堆肥は肥料と土壌改良剤としての2面性があり、有機JASの資材として全国の有機栽培農家に重宝され、ハウス栽培等の特産品の他、ゴルフ場や野球場のグリーン(芝)などにも多く利用されています。
うずらの他の生産県としては、千葉・群馬・埼玉などがあげられます。
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東三河地区 | 15農場 | |
飼養規模 | 約205万羽 | |
年間出荷額 | 約40億円 |
うずらと鶏の比較 | ||
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区分 | うずら | 鶏 |
体 重 | 130~150g | 1,700~2,000g |
平均初産日齢 | 約40日齢 | 約150日齢 |
卵 重 | 約10.5g | 約60g |
卵重 / 体重 | 8% | 約3% |
年 間 産 卵 率 | 75~80% | 75~80% |
栄養成分(100g当たり) | ||
エネルギー | 179kcal | 151kcal |
タンパク質 | 12.6g | 12.3g |
脂質 | 13.1g | 10.3g |
炭水化物 | 0.3g | 0.3g |
ナトリウム | 130mg | 140mg |
食塩相当量 | 0.3g | 0.4g |
ビ タ ミ ン B1 | 0.14mg | 0.06mg |
ビ タ ミ ン B2 | 0.72mg | 0.43mg |
ビ タ ミ ン A | 350μg | 140μg |
カルシュウム | 60mg | 51mg |
鉄 | 3.1mg | 1.8mg |
葉酸 | 91μg | 43μg |
※五訂増補食品成分表より